三 第2回森林現地視察(南部)
1 竹の有効活用の事例
(1)視察日
平成18年7月31日(月)
(2)場所
多気郡多気町五佐奈
農事組合法人波動三宝農畜産組合
(3)参加議員
6名
(4)説明の概要
現在の農業においては農薬、化学肥料が非常に多用されているが、窒素の化学肥料を大量に使用することにより地中には大量の亜硝酸が蓄積されている。亜硝酸は身体に対して有害であり、亜硝酸の含まれた農作物を摂取することは避けた方が良い。
当組合は、近年放置されていることによりその森林への侵入が問題となっている竹を活用することにより、安全な肥料として竹フェルトの開発を行った。
竹フェルトは腐植が早いために肥料として非常に有効である上に、竹の有している抗菌作用のため、農薬や科学肥料を使用せずにおいしくて安全な農作物を作ることができる。
また、竹粉末は身体に良い作用を及ぼすと言われており、ラーメンや饅頭の皮に練りこんで食べられる竹粉末の製造も行っている。
2 大台町の森林の現状
(1)視察日
平成18年7月31日(月)
(2)場所
多気郡大台町佐原
大台町役場
(3)参加議員
7名
(4)説明の概要
ア 林業関係
ここ数年、材価が低迷しており、木を伐った後に山に木を植える循環がなされていない。林業従事者も減少・高齢化が進んでおり、間伐の人手が無く、放置林が増加している。
イ 災害、渇水との関係
災害で山が崩れている大半は人工林である。崩壊した箇所の木は根の張りが2m前後と小さく浅く、表土が流され災害につながっている。雨が降ると山が崩壊している状況である。
旧大台町集落では、今年 1 月に渇水が発生。山の保水力が弱まっている。
ウ 森林環境創造事業等
平成13 年度から県と共同して森林環境創造事業に着手した。事業の対象森林 6,046ha のうち、約 4,300ha は手入れが行き届かず、いわゆる荒廃森林となっている。
受益者の負担割合を減らす森林整備事業を行ってきたが、負担金を出してまで整備されない。材価が少しでも上がればいいが今の状況では難しい。環境林のみならず、生産林も間伐・枝打ちがおぼつかない状況である。
エ 森林管理の取組み
広大な森林を将来どのように管理していくか、第 3 セクター(フォレストファイターズ)を平成 5 年 10 月に立上げた。主体的な取組として、国産材を使った公共施設の木造化(統合した宮川小学校、福祉センター)を実施した。災害時の応急仮設住宅など、間伐材を使用し木材の需要を高めたい。
オ 森林環境税について
そういう中で税導入を検討されていることについては、我々も待ち焦がれている。何とか森林の整備にご尽力頂きたい。
(5)質疑
(議員)
森林の境界調査事業に係る本年度予算はどうなっているか。また県の森林環境創造事業の大半は 20 年計画の毎年の事業に使われ、新規はできない状況だがどうなっているか。
(大台町)
境界調査事業は、予算が約 1,200 万円で 300ha 程度を実施したい。森林環境創造事業については、本年度は旧大台町地区でも予定しており、予算は約 5,000 万円、 CO 2事業で約 9,000 万円計上している。
(議員)
森林環境税が、林業の一般財源を削る口実に使われるのではと懸念している。税の使途を広葉樹への誘導や木の学習机などの木と親しむ情操教育、県民の森・企業の森への助成などに絞るべきではと思うが。町の考えはどうか。
(大台町)
税の導入により一般財源の削減はあってはならないと思う。県の一般林業予算については、治山事業、保安林事業など従来からも減少が甚だしい。既存の一般財源はしっかり確保してほしい。
使途は環境教育で使われても良いし(町では小中学校で木の机を使用)、林業振興に集中的に使っても良いと思う。
(議員)
都市住民には森林の危機と言ってもなかなかピンとこない。議論することでいかに人工林が荒廃しているか理解してもらうことに意味があるのではないかと考えている。また、材価が低迷している状況では伐採して山から市場へ運ぶだけでも材価程度はかかるのではないか。
(大台町)
森林組合では FSC の認証、 COC の資格を取得し、山から直接製材業者へ流通手続きを省略できるようになったが、依然厳しい状況にある。
(議員)
今後税が導入された場合に、消化できる森林整備の作業量はどれくらいか。
(大台町)
現在は間伐面積で700 ha前後の整備であり、その2,3割増までは消化できるのではないかと考えている。
3 セクも地元住民からの需要が少なく、県や町の補助に頼っている。人件費を捻り出すのが大変な状況。森林組合も経営が苦しい。
これからは木を使うという文化を長い時間をかけてつくっていかなくてはと考えている。例えば小学校では間伐などの体験教育を実施している。
3 「日の出の森」生活環境保全林(整備された森林の例)
(1)視察日
平成18年7月31日(月)
(2)場所
度会郡度会町長原
「日の出の森」生活環境保全林 2号歩道及び3号歩道
(3)参加議員
11名
(4)概要
写真1・2は2号歩道付近の森林。
このエリアは、展望、ピクニック、休養を目的とした空間が整備されている。材積除去率40%以上(一部20%〜40%未満)の強度な受光伐を行い、周辺の展望が効くように明るい林相に改良されている。
写真3・4は3号歩道付近の森林。
材積除去率20〜40%未満の受光伐、本数調整伐(520本 / ha)により明るい林層に改良されている。

写真1
展望広場と歩道

写真2
四阿 ( あずまや ) (休憩小屋、木造1棟 32.4 u)

写真3
広葉樹林と林道

写真4
整備された森林
4 度会町田口地内の森林(整備された森林と未整備の森林との対比)
(1)視察日
平成18年7月31日(月)
(2)場所
度会郡度会町田口
(3)参加議員
11名
(4)概要
ア 整備された森林
樹種: スギ、ヒノキ
林齢: 45年生
施業履歴: 直近では、平成13年に間伐を実施している。それまでは、平均5年間隔で間伐を実施してきている。
成立本数: 800本 /ha
相対照度: 12.5%
森林内の状況: 下層植生が繁茂し、地力を維持し、材木の育成も良好である。水源のかん養機能、山地災害の防止機能、自然環境保全機能、木材等生産機能を十分に発揮している。 
写真1
整備された森林
イ 未整備の森林
樹種: スギ、ヒノキ
林齢: 39年生
施業履歴: ほとんど施業履歴は無い。
成立本数: 4,000本 /ha(うち1,000本/haは立枯れ)
相対照度: 3.4%
森林内の状況: 下層植生はほとんど無く、表土の流出が見られる。現在の状況では、水源のかん養機能、山地災害の防止機能、自然環境保全機能、木材等生産機能が低位の状況にある。

写真2
未整備の森林 |